大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和33(オ)332 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士森吉義旭、同浅石大和の上告理由、

原判決事実記載中誤謬の点及び事実記載遺脱の点について。

しかし、(イ)原判決事実摘示中に所論のかきんがあるとしても、原判決は所論

登記の存することを前提として、原判決主文に影響を及ぼすような理由付はしてい

ないし、また、(ロ)所論主張はいささか不明瞭ながらも原判決事実の部に摘記さ

れており、しかも理由において判断されているから、所論(イ)(ロ)は結局判決

に影響を及ぼすこと明らかな法令違背を主張するものとは認められない。

(甲)事実関係

第一、二点について。

所論は帰するところ、原審がその専権に基き自由に証拠を駆使してなした自由な

事実認定を非難するものでしかなく、上告適法の理由とするに足りない。

(乙)法律関係

第三点について。

しかし、原判決挙示の証拠に照合すれば、Dは個人としてでなく、被上告人組合

の代表者として所論各契約を締結したものであるとの原判決の認定はこれを首肯で

きないことはないから、所論は結局原審の専権に任かされてある事実認定、証拠の

取捨選択を非難するか、あるいは原審で主張判断のない事項について論議を展開す

るに帰着するものであつて、採るを得ない。

同第四点について。

しかし、原判決は所論更改契約のなかつた趣旨を認定していることは原判文上明

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かであるから、原判決には所論の違法ありというを得ない。所論は原判決を正解し

ないものであつて、採るを得ない。

同第五点について。

しかし、原判決は挙示の証拠により本件建物の所有権は当事者間に締結された譲

渡担保契約によつて一応被上告人組合に移転した旨の事実を認定したのであつて、

建物の所有権に基いてその明渡を求めている本訴のような場合は、それだけの認定

で十分であり、それ以上右譲渡担保契約が所論いずれの型の譲渡担保契約に属する

やについて、更に審理判断をしなければならないわけのものではないから、原判決

には所論の違法ありというを得ない。所論判例は本件に適切ではない。それ故所論

は採用できない。

同第六点について。

しかし、原判決は被上告人組合が上告人の経済的困窮、法律的無智、無経験に乗

じて所論契約を締結させたことを認めさせる証拠はないと判示している以上(この

判断は是認できる。)、本件建物の所論価額と所論代金との間に所論のように権衡

がとれないからといつて、それだけで所論契約を暴利を目的とする法律行為とは断

じ得ない。所論は独自の見解というの外なく、所論判例は本件に適切のものとは認

められない。それ故所論も採用できない。

同第七点について。

しかし、原判決の確定した事実関係の下では、上告人は判示の日以降少くとも過

失に因る不法占拠の責を免れないものと認めるを相当とする。(所論の事情がある

からといつてその責任に消長あるべきでない。)従つてこれと同趣旨に帰する原判

決の判断は正当であり、所論は専ら独自の所見に属するものであつて採るを得ない。

同第八点について。

しかし、前叙の如く上告人は所論の日時以降不法占有者と認められるのであるか

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ら、所論前段はその前提を欠くものであり、また所論有益費を上告人が反訴として

請求している趣旨とは所論準備書面に徴するも認め難いから所論は理由がなく、採

用できない。

同第九点について。

しかし、所論同時履行の契約を前提とする主張は原審で主張判断のない事項に関

するから、ここでは審判の限りではない。また原判決がその挙示の証拠によつてな

した首肯するに足る認定によれば、本件係争の建物として実在するものは判示一個

の建物であることが明らかであり、この建物につき所論のようにそれぞれの地番に

存在するものとして保存登記がなされてあつても、そのことによつて建物の同一性

にかかわりあるものではないから、所論も採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 高 木 常 七

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